なぜ、いま提言を行うか
企業およびその他各種の組織体(以下、企業という)を取り巻く社会経済環境の激変によって、わが国の企業行動は、多くの変革を迫られている。企業が21世紀におけるグローバル社会を前提に活動していくためには、在来の不適切な社会通念や慣行から速やかに脱却し、システムに内在する欠陥を除去するとともに、新しいシステム造りを行わなければならない。
企業は、自己責任、透明なルール、情報開示を強調する市場メカニズムに基づく自由経済競争を前提に、経営諸活動を活発化し、永続的発展を図るため、環境問題への解決などグローバル社会に対応できるコーポレート・ガバナンスを確立し、積極的かつ公正な「経営行動力」とバラ
ンスのとれた健全な「経営監視力」とを両立させた活力ある経営システムを構築する必要がある。
「経営監視力」を果たす重要なひとつの機能として、内部監査がある。内部監査は、経営諸活動が合法的・合理的に行われているか、経営管理組織・制度が経営目的に照らして適切であるかを客観的に検証・評価し、その結果および改善案を直接、経営者に対して報告する経営管理機能である。それは、経営的観点から、内部統制の有効性の評価を行うために不可欠な機能であり、経営内のコミュニケーションを促進し、内部経営コ
ンサルタントの役割を果たすものである。
この機能が適切かつ有効に果たされることにより、経営者は自己責任を遂行するために有用な経営評価手段を得ることになる。それゆえ、経営者は善良なる管理者としての注意義務を果たし、リスク管理を志向した責任ある経営を実行するとともに、株主代表訴訟などにも対応し得ることができる。
昨今、重大な不祥事や経営破綻の多発に対して、多くの知識人や専門家などは、原因の分析、対策の提示を行うとともに、グローバル社会における国際競争力を確保する観点からも、「経営監視力」の充実化のために、社外取締役、社外監査役など、外部からの役割を強調した法制度の強化を要望している。それに引き換え、“内部監査制度の強化”への要請は、ほとんどみることができない。
それは、わが国には、あるべき内部監査の普及・発展を目的として、 1957年に「日本内部監査協会」が設立され、今日まで40年余にわたり、積極的な活動を続けてきているにもかかわらず、内部監査の有用性が一般に十分に理解されていないこと、また、内部監査の本質が企業内の経営評価手段であり、法制度化がなされていないことなどによって、消極的に扱われてきた事情によるものと考えられる。わが国の現状をみると、
利害関係者を多く抱える大企業の中にさえ、内部監査制度を有しないものも存在している。
近時の深刻な事態の反省に立ち、社会的公正性に欠け、透明度の低い企業は今後存続し得ないとの認識のもとに、国際的に通用する経営管理システムを確立するためには、わが国の企業は、“自らを律する健全な仕組み”として、“内部監査の導入とその強化・推進”を積極的に図ることが急務である。
ここに、各界指導者・学識経験者、経営者、監査役・公認会計士、監督関係機関等に対して、広く本提言を行うものである
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